歯科衛生士 9月
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●手術当日の患者のケアインプラント治療でもっとも避けたい事態は、植立したインプラント体の脱落です。インプラントが脱落する原因は、感染と力学的過重に二分されます。埋入手術後早期に術後感染が生じてオッセオインテグレーションが得られずに抜け落ちてしまう周術期感染と、上部構造装着後にインプラント周囲炎による骨吸収が次第に進行して脱落する遅発性進行性の感染があります。ここでは、これらを防止するために、手術当日に患者のケアで行っておかなければならない事項を示します。なお、手術前日までには歯周治療が終わり、コントロールされた状態にしておきます。歯周病の初期治療を行います。術前までにプラークと歯石を除去し、コントロールされた状態にしておくことは、非常に重要です。手術当日に歯肉の腫脹・発赤などが起こっていないようにしておきます。歯周病に罹患している患者では、罹患していない患者よりも術後感染、インプラント周囲炎ともに、より生じやすくなります。歯周病罹患歯の歯周ポケットに存在する細菌叢と、インプラント周囲炎の細菌叢は類似しているとされているからです。手術当日までにすべきこと①PMTCと含嗽②抗生物質の服用来院した患者には、インプラント手術ユニットに座っていただく前に再度PMTCを行い、グルコンサンクロルヘキシジン液で含嗽をしてもらいます。イソジン液などのヨード系消毒薬は腐食性が強く、インプラント体に付着するとオッセオインテグレーションを妨げる可能性があるので使用しません。こうしてきれいにした口の中に入れる器材は、あらかじめきちんと消毒しておかなければ、せっかくの口の清掃・消毒の意味がなくなってしまいます。たとえばサージカルステントを用いる場合は、術前に消毒をしておきます。熱で変形しやすいプラスティック製のものは、薬液に浸漬して消毒します。クロルヘキシジングルコネートよりも70%のエタノールに15分間浸漬する方が微生物の検出が少ないとされています₁)。口腔粘膜切開時にすでに血液中に抗生物質が流れていることが重要なことから、術前30~60分には抗生物質を投与します。ペニシリンかセフェム系の抗生物質(例:メイアクトMS錠、フロモックス錠など)を服用しますが、ステージ別連載 初級ステージ54 歯科衛生士 Vol. 36 No. 9/2012第4回(最終回) 手術当日の患者のケア・医療スタッフのケアインプラント手術時の感染防止対策昔の常識今の非常識嶋田 淳 明海大学病院口腔インプラントセンター長/歯科医師は
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