歯科衛生士 2023年5月号
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老年期更年期性成熟期(生殖期)思春期少女期幼女期閉経初経エストロゲンレベル1201Part華麗なる加齢のために ~更年期からの対応の重要性~(歳)(歳)36妊娠・分娩・授乳102030405060図1 女性のライフサイクル 400107030205060708090初経閉経平均寿命〈Part1の引用文献〉1.日本産科婦人科学会(編・監).産科婦人科用語集・用語解説集(改訂第4版).東京:日本産科婦人科学会,2018.2.日本産科婦人科学会.生殖・内分泌委員会 本邦におけるHRTの現状と副作用発現検討小委員会報告.日産婦誌.2000;52(9):N-194-198.3.厚生労働省.令和3年簡易生命表の概況.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life21/index.html(2023年3月24日アクセス) 女性のライフステージは、幼女期・少女期・思春期・性成熟期・更年期・老年期に分類されますが、これを区分するのは初経と閉経という月経の有無、つまり排卵の有無が大きなポイントとなります(図1)。閉経とは月経が永久に停止した状態を言いますが、実際には月経が12ヵ月なかった場合、さかのぼって最後の月経時を閉経年齢とします1。日本人ではだいたい50歳ですが、45歳から55歳ぐらいまで幅広く分布します。一方、更年期とは閉経の前5年と後ろ5年の合計10年間を言います1。閉経年齢を勘案すれば、更年期は40~60歳ぐらいまでに収まります。 このように、閉経とは妊娠可能年齢の終焉ですが、同時に性成熟期には一定レベルであった女性ホルモン、とくにエストロゲンレベルが低下します(図2)。エストロゲンはその受容体(ER)に結合することにより、強い効果を発現します。このERは女性性器である子宮・卵巣・乳房のみならず、皮膚や骨を含めてほぼ全身に分布しており、皮女性ホルモンであるエストロゲンは女性の心身を護っていますが、閉経年齢を考慮すると人生の4割はエストロゲンのレベルが下がった状況で過ごすことになります。輝いた一生を送るために、移行期にあたる更年期は重要です。髙松 潔 東京歯科大学市川総合病院産婦人科・医師図2 エストロゲンレベルの加齢による変化(筆者作成)膚は身体でもっとも広いエストロゲンのターゲットです。歯科・口腔外科領域でも顎骨はもちろんのこと、唾液腺などにもERが存在しています。したがって、性成熟期にはエストロゲンが女性の心身を護ってくれることになりますが、一方、更年期における閉経にともなうホルモン変化はさまざまな心身の変化をもたらします。よく知られており、対応が重要とされているのは、のぼせやほてりといった更年期障害、いわゆるコレステロールの状態が悪化する脂質異常症、骨がもろく折れやすくなる骨粗鬆症などで、少し時間差をもって出現しますが(図3)2、愁訴・症状としては300以上もあるといわれています。図4に示すように、メタボリック症候群、免疫力低下、認知機能悪化、皮膚のシワや毛髪といった見た目の変化、筋力低下など全身にわたり、もちろん口腔にも影響があります。その結果として生活の質(QOL)が阻害されることになります。(筆者作成)更年期を知る閉経とは? 更年期とは?更年期以降に起こることとは?

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