歯科衛生士 2023年5月号
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●臨床経験年数:18年目●2004年兵庫県歯科医師会附属歯科衛生士学院卒業●39歳●勤務形態:非常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会(認定歯科衛生士)、日本離乳食・小児食育学会(食育認定歯科衛生士)、DH.LIT●医院紹介:「歯科医院に来るのは治療ではなく予防のために」という考えを患者さんに説明し、お口の健康を長期に維持できるよう、患者教育・メインテナンスに重点を置いて日々診療に取り組んでいる。59歳(2020年1月初診時)、女性2013年に7の治療が行われた。その時は歯周病については何も言われず、歯周治療は行われなかった。その他の治療は記憶がなく不明初診時は特になし。その後2022年11月に高血圧の診断をされ治療中なし[キーワード] 歯周基本治療、歯周炎年齢、性別主訴左側の上下奥歯が痛い何年も前から全体的にしみる3日程前から左上下奥歯が何もしなくてもシクシク痛む1日1回痛み止めを服用し痛みは和らいでいる現病歴今回症例を紹介してくれるのは…… 歯周炎が進行した患者さんでは、歯周基本治療後に改善が認められなければ、歯周組織再生療法を含む歯周外科治療や抜歯が選択されることもあると思います。しかし、「外科処置は怖いのでできれば避けたい」と思われる患者さんも少なくありません。患者さんに口腔内の現状を説明し、かかりつけ医院としてお口の健康を長期に維持できるような治療計画を説明し、患者さん自身がどこまで治療を希望されるか、どこまでセルフケアをがんばれるかを確認することが重要だと考えます。 今回は「できるだけ歯周外科治療や抜歯は避けたい」という患者さんの希望に寄り添えるように口腔衛生指導(OHI)を行い、う蝕や隣在歯の保存のための抜歯はありましたが、歯科医師と相談しながら治療やSPTを続けた結果、長期予後の不安な歯はありますが、歯周基本治療で中等度~重度歯周炎の改善が認められた症例を報告いたします。 患者さんは初診時59歳の女性で、主訴は「左側の上下奥歯が3日前から痛い。何年も前から全体的にしみる」ということで来院されました。2013年に7の補綴装置が外れた際に前医で治療とクリーニングを1回受けたのが最後で、歯周病については何も言われたことがなく、う蝕治療のみされていたとのことです。 初診時の検査では、全顎的に歯肉の腫脹、出血、4mm以上の深い歯周ポケット、1~2度の動揺がみられ、7は垂直方向の動揺があり、6666には根分岐部病変Ⅰ~Ⅱ度が確認されました(次ページ図1~4)。以上のことから、歯科医師より広汎型慢性歯周炎ステージⅢグレードBと診断されました。85症例をシェアして、ステップアップ!May 2023 vol.47初診時の患者の基本情報歯科的既往歴全身的既往歴喫煙歴Yukie Konishi医療法人社団はな歯科[兵庫県]歯科衛生士小西由紀恵さんCase53はじめに ─歯周外科治療や抜歯を 避けたいという希望に寄り添う─歯周治療を受けられず歯周炎が進行していた患者さん歯周基本治療で改善がみられた広汎型慢性歯周炎の1症例

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