Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2023年No2
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五十嵐祐二キーワード アライナー矯正治療、CBCT、ボーンハウジング、Invisalign、ClinCheck、3Dセファロ分析治療終了後の評価について、CBCTの活用法を中心に紹介する。撮影条件の設定 三次元の撮影領域であるFOV(field of view)は、撮影目的に合わせて選択することが重要であり、不必要に広範囲なFOVによる撮影は、散乱線の増加による解像度の低下や、患者の被曝線量を増加させることになる。第二大臼歯までの上下顎歯列全体を撮像するには直径8cm×高さ5cmのFOVが必要であり、下顎に水平埋伏智歯がある場合や上下顎犬歯の歯根長が長い場合、重度の前歯部開咬症例の場合では、直径10cm×高さ6cm以上のFOVが必要と考えられる。3Dセファロ分析を行うためには、直径15cm×高さ13cm以上のFOVが必要となる。筆者が使用しているKaVo 3D eXam+(旧カボデンタルシステムズ社)は、広範囲撮影(直径23cm×高さ17cm)、3Dセファロ分析、パルス照射による線量抑制などが特徴であり、撮影の基本仕様は現行のOP 3D Vision(エンビスタジャパン社)、i-CAT FLX(DEXIS社)と同じである。五十嵐祐二 Yuji Igarashi, D.D.S., Ph.D. 五十嵐歯科室 〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-5-11 新宿三葉ビル9階 連絡先 E-Mail: yuji2175@gmail.comJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2023 vol.3 issue 259五十嵐祐二 近年、歯科用コーンビームCT(CBCT)の普及(年間販売実績は約2,400〜2,800台、2022年までの累積は約32,000台)1により、矯正歯科治療において歯根と骨形態の詳細な把握や顎顔面の三次元分析、治療評価が行えるようになった2,3。さらに一部の矯正歯科治療用3Dシミュレーションでは、口腔内スキャナー(IOS)のSTLデータとCBCTデータを統合した歯根つき3Dモデルを用いて治療計画を立案できるようになっている。Invisalign(Align Tecnology社、米国・カリフォルニア州)のアライナーシステムでは、2022年からCBCTデータを3D治療計画ソフトウェアClinCheckに統合する機能が一部で利用できるようになり、今後のアライナー矯正治療においてもCBCTを活用する機会がますます増えるものと考えられる。 そこで本稿では、アライナー矯正治療における分析・診断、治療計画の立案、経過観察(モニタリング)、日本版オリジナルページメソッドプレゼンテーション & 症例報告緒言矯正歯科治療のためのCBCT撮影アライナー矯正治療におけるCBCTの活用(前編)

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