Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2023年No2
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3演者論202診断プロセス治療プロセス文常盤 肇キーワード アライナー型矯正装置、リカバリー、アンフィット、臼歯部咬合離開、ハイブリッド矯正治療選択されて初めて治療が開始されるのである(図1)。この診断プロセスなしに、まずアライナーありきで治療を開始することは危険極まりない。また、製造元から送られてくるバーチャルセットアップが診断や正しい治療方法を導くものと誤解している方も少なくない常盤 肇 Hajime Tokiwa, D.D.S., Ph.D. 常盤矯正歯科医院 〒160-0022 東京都新宿区新宿4丁目3-22 安藤ビル5F 連絡先 E-Mail: drt@tokiwaoc.comJournal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2023 vol.3 issue 2マルチブラケット装置装着/治療開始図1 矯正歯科治療開始から終了までのプロセス。検査矯正診断治療方針決定/装置の選択セットアップ/アライナー装着/ワイヤーの調整・交換(リファインメント)治療終了アライナーチェック治療開始リバイズリカバリー83常盤 肇 前編では、マウスピース型矯正装置による矯正歯科治療(以下アライナー矯正治療)の歴史、装置の特性や種類について述べた。今回は、アライナー矯正治療のメリットやデメリット、問題点や不測の事態およびそのリカバリー方法について述べたい。 歯科医師・一般人を問わず、SNSをはじめとしたさまざまな媒体を通じて、アライナー矯正治療は導入が簡単で、通常の矯正歯科治療より安価なイメージが先行しているように感じる。また表面的には、歯列模型(STLデータ)を製造元に送信すると適切な装置が届き、それを患者に渡し使用してもらうだけで、短いチェアタイムで医院経営にメリットをもたらすように錯覚している方も少なくないようである。しかし前編でも触れたように、アライナー矯正治療はあくまでも基本的な歯科矯正学的診断をベースとして治療方針が決定され、治療装置としてアライナーが最適であると緒言日本版オリジナルページ論考 & 症例報告特性を考えたアライナーの適応・動的治療とリカバリー(後編)

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