QDT2012年4月
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56QDT Vol.37/2012 April page0474の2種類に大別され、使用する印象法としては ①アルジネート単一印象 ②寒天・アルジネート連合印象 ③シリコーン単一印象 ④シリコーンパテ・インジェクション連合印象の4種類が多いと思われる。中でもアルジネート印象材と寒天印象材は安価で操作性が良いため日常臨床で使用頻度が高い。しかし作業環境の影響を受けやすいため、正確な知識のもとで使用しなければ満足する水準の印象採得は行えない。本稿ではシリコーン印象材と比較しながら、アルジネート印象(寒天・アルジネート連合印象を含む)の特徴を明確にして、正しい使用法について考えてみたい。1.シリコーン印象材とアルジネート印象材の違い1)弾性ひずみと永久ひずみ 弾性ひずみと永久ひずみは印象材の特性に大きな影響を与え、JISにも必要とされる性質が明記されている(表1)。弾性ひずみはアルジネート印象材で10%程度、シリコーン印象材で2~5%程度であり、永久ひはじめに ボンディングシステムの発達やコンポジットレジンの物性の向上、充填操作の確立により、低侵襲で審美的な口腔内直接修復治療が可能となっている。また、種々の口腔内スキャナーの開発により光学印象採得が可能となり、将来修復物の製作に作業模型が必要なくなる可能性もある1。しかし現時点では、すべての修復操作を口腔内で直接行うことは不可能であり、口腔内スキャナーの性能にも限界がある。さらに治療計画の立案にスタディモデルは不可欠で、模型を手に取ってさまざまな方向から観察し、咬合器に装着して下顎運動を再現することで多くの情報を得ることができる。このような作業をコンピュータ上で行うことは困難で、実際の模型を手にすることの利点といえる。 したがって、従来の印象採得法の重要性はいまだ健在であり、正確な印象採得を行い、精密な模型を製作することは、その後の治療結果に大きな影響を与えると考える。 現在臨床で用いられている印象材は、 ①ハイドロコロイド印象材 ②ゴム質印象材山瀬 勝日本歯科大学附属病院総合診療科東京都千代田区富士見2‐3‐16アルジネート印象の使いどころを考える─材料の精度を引き出すための13の注意点─適材適所の臨床応用

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