QDT11月
4/8

44QDT Vol.37/2012 November page1392ける支台歯形成・プロビジョナルレストレーションの製作、そして咬合調整などにおいて良好な結果は期待できない。とくに最終補綴装置の「設計図」となるプロビジョナルレストレーションの製作は、多くの場合歯科技工士によってではなく、チェアサイドにおいて歯科医師の手により行われる。そのプロビジョナルレストレーションの製作も、歯科医師自身が診断用ワックスアップでそれを再現することができなければ、当然理想的な形態とは程遠いものとなってしまい、その弊害は多くの場合治療結果に直接結びつく。 では、どうすれば解剖学的形態に準じた機能的な咬合面形態を再現できるのであろうか。現在の歯学部の教育だけでは、解剖学的形態を理解はできても、それを実際の臨床において具現化することは不可能であろう。それを習得するためには日々の反復的なトレーニングが必要になる。その具体的な方法としては、デッサンおよびカービングがもっとも現実的であり効果的である。また、プロビジョナルレストレーションの製はじめに 昨今の歯科医学の進歩は、歯学部及び歯科大学におけるカリキュラムをますます増加させている。これ自体は喜ばしいことかもしれないが、学生に与えられた時間はあくまでも限られており、結果として「広く、浅く」といった教育内容にならざるを得ない。その結果、輩出される若手歯科医師の中には学生時代に当然習得しておくべき知識・技術が欠落している場合も多く見受けられる。 とくに歯冠修復の分野においては、本来ならば歯牙の解剖学的形態を充分に理解し、それを各種の方法で口腔内に再現できるスキルをもつことが最優先事項となるが、そのためのトレーニングを積む余裕が現在の日本の大学教育にはないのが現実であろう。だが、歯牙の解剖学的形態を理解していなければ、ダイレクトボンディングにおける歯冠形態の再現や補綴治療にお木林博之*1/森田 誠*2*1歯科医師・きばやし歯科医院京都府長岡京市開田1‐21‐21*2歯科技工士・京都 歯立屋京都府長岡京市開田1‐21‐24 増田ビル201歯科医師のための解剖学的形態をふまえた臼歯部ワックスアップ2回集中連載(前編:上顎第一大臼歯編)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です