96QDT Vol.47/2022 August page 1092で無駄なミリングエラーを防ぐことができ、さらにどういう削り残しができるかを想像できるようになることでチッピングがなく再現性の高いミリング加工が可能となる。 筆者の考えるデジタル化の最重要ポイントとして時間短縮を挙げているが、そのためには半焼結時や焼結後の無駄な調整、ミリング中の加工エラーによる再ミリングを最小限に抑えたいところである。そして、そのポイントと同等に考えているのがミリングの再現性である。再現性が高くなければいけない理由として、デザイン通りに精密に加工ができ高い再現性を得ることが、補綴装置の仕上げに要する時間と完成後のクオリティに大きく影響するからである。今回はそういったネスティングの際に押さえておきたいポイントをお伝えする。第23回 デザインデータとネスティングの考察藤松 剛株式会社 STF/京都府長岡京市開田2-1-5 とみふじビル3F株式会社 STF Tokyo/東京都台東区東上野6-23-5 第二雨宮ビル1F 101 今回からはデザインデータに対するネスティングの考察についてお伝えしたい。ミリングの際にCADデザインによって細部の再現性が甘くなる場合があるが、ネスティングによって多少は回避することができる。前回までにサポートピンの立て方やチルトについて述べてきたが、ネスティングの際にCADデータを見て削り残しが出ないようにするために注意が必要になる。最初はミリング中の脱落やチッピングに注意を払うことが基本となる。さまざまな失敗を経験するとそれ相応の対処法を考えて試行錯誤し成功にたどり着くのだが、その経験が蓄積されていくと加工エラーを事前に回避できるようになる。そして、そうなるとデザインデータを見てどのようなリスクがあるかが分かるようになってくる。その対処法としては、ネスティングで工夫を要したり、リスクの内容によってはデザインの修正を必要としたりする場合もある。その判断はじめに連載Road to Modellessモデルレス時代に向けてデジタル機器を使いこなすために
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