Prevention of Vertical Root Fractures in Endodontically Treated Teeth52Ryo Kambeキーワード: 垂直性歯牙破折,歯内療法,既根管治療歯神戸 良京都府開業 良デンタルクリニック連絡先:〒600‐8216 京都府京都市下京区東塩小路町579‐1‐7Fthe Quintessence. Vol.41 No.4/2022—0786 日常臨床を行うなかで,歯の破折にはしばしば遭遇する(図1,2).そして,歯の破折への対応の意思決定は,時として苦慮することがある.歯に起きた亀裂の程度とその場所,症状の重症度に応じて,経過観察,コンポジットレジンなどの接着技法を用いた修復,クラウンによる補綴処置などの対応を行う.また,歯髄や根尖周囲組織に障害をきたした場合は,歯内療法の介入とそれに続く咬頭被覆冠による補綴処置,さらには抜根や抜歯まで,その対応は多岐にわたる. 歯に破折が起きて,その破折線が歯根に及び期間が経過すると,破折線に沿って歯周組織の広範囲に破壊が進行する.歯周組織の広範囲に破壊をきたした歯根破折を認める場合,接着技法を用いた保存的治療も試みられるが,歯根にまで及ぶ破折を認めた歯の多くは保存不可能となり抜歯が避けられなくなる.このような場合でも,複根歯であればルートアンプテーションやヘミセクションなどを行うことができるかもしれないが,臨床ではその適応や予後について限定的な症例にのみ有効であるという状況もしばしば経験する(図3). 実際,2018年の(公財)8020推進財団による『第2回永久歯の抜歯原因報告書』においては,永久歯の特 集 2既根管治療歯の垂直性歯牙破折はじめに~歯内療法的視点からその予防を考える~
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