ザ・クインテッセンス 2022年4月号
4/11

抜歯原因において,歯の破折が全体の17.8%を占めていると報告されている1.この事実は臨床医としては無視することができない. 歯の破折は稀な症例ではなく,日常臨床で散見する厄介な問題である.そして,上述したように,一言に“歯の破折”といっても,日常臨床を行ううえでは,その重症度によって経過観察から抜歯まで,とても幅広い対応が求められる. 歯の破折は既根管治療歯のみに起きるわけではないが,日常臨床では既根管治療歯に歯の破折が生じている症例に遭遇する機会が比較的に多いであろう.はたして,既根管治療歯に起こる歯の破折は避けることのできない不慮の事故なのであろうか?  もちろん,避けることができなかったであろうと推測される既根管治療歯に起こった歯の破折も経験するが,避けることができたであろうと感じる既根管治療歯の破折も経験することがある. ひとたび,歯の破折が起こるとチャレンジングな処置を強いられたり,保存不可能となったりする可能性があるからこそ,事前に可能な限りの予防策を講じることが重要となる. このようなことを背景に,本稿では既根管治療歯に起こる歯の破折,なかでも垂直性歯牙破折をいかにして予防するかについて,歯内療法の視点で考察してみたい.the Quintessence. Vol.41 No.4/2022—078753このような歯牙破折は,なぜ生じるのか?防ぐことはできないのか?

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る