ザ・クインテッセンス 2022年4月号
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顔貌と歯列の調和(上顎中切歯切縁位置と正中の診査)➡口腔内の状況(個々の歯の疾患性,歯列,咬頭嵌合位での咬合関係)➡中心位1での咬合関係,個の歯のサイズCore Points of Comprehensive Treatment Required for Orthodontic Space Managementthe Quintessence. Vol.41 No.4/2022—0853山口県開業 医療法人裕歯会たかい歯科・矯正歯科クリニック/CREDOインプラント顕微鏡歯科オフィス連絡先:〒755‐0151 山口県宇部市西岐波2775‐7Hirofumi Takaiキーワード:脆弱歯列,早期接触位(Premature Contact Position),包括歯科治療 包括治療は,通常歯科医師が主導的に提案しないと開始されない.念のため整理しておきたいことは,包括治療とは全顎にわたって治療することと必ずしも同じではないという点である. 日常臨床において,私たちが包括治療に取り組む場合に順次着目すべき基本的ステップは以下のとおりである. 包括治療において,矯正治療や補綴治療が主要となることは近年認知されてきている.しかし,そのなかにあって診断や治療計画上で見落としがちな「閉口運動に関する咬頭嵌合位と中心位の関係性」や「個の歯のサイズ」,「欠損位置の策定」などを俯瞰して治療計画を立てることの重要性を改めて確認しておくべきである. 本稿では,これらについて着目し,「脆弱歯列」(図1)としてワイヤー矯正に軸を置いた包括治療の概念を明示したい. なお,デンタルオルソによるアライナー矯正を採用する場合,後述で触れる治療原則など(図4,5)は共通だが,治療をリスタートするリファインメントの活用など,治療体系に基づくワークフローに相違が生じる場合があるので,今後論及してみたい. Ward M. Smalleyが提唱した“debilitated dentition”は,『インターディシプリナリー治療計画』のなかの「欠損歯や形態異常歯を有する患者の包括的連携治療について」の章内2で植松,川畑によって「脆弱化した歯列」と訳された.抽象的だが,この他に適切な表現が見当たらない.髙井裕史119はじめに1.「個の歯のサイズ」に異常のある脆弱歯列とは?特別企画歯科矯正によるスペースマネージメントを必要とする包括歯科治療のコアポイント

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