*1クレスタルアプローチ:インプラントを埋入する歯槽頂の形成窩から,各種器具を用いて上顎洞粘膜を剥離,挙上する方法.明視野下での手技でないため,上顎洞粘膜の穿孔は判断しにくい.ラテラルアプローチよりも外科的侵襲は小さいが,一般的に挙上可能量は少ない.*2ラテラルアプローチ:上顎洞頬側側壁の骨を部分的に開窓し,上顎洞粘膜を剥離,挙上することでスペースメイキングを行い,骨補填材を填入することで骨造成を行う.外科的侵襲は大きいが大幅な挙上が可能. 昨今,インプラント治療では外科的侵襲の大きな骨造成を避けることを目的にショートインプラントの使用が増えており,低侵襲な術式が全盛となってきている.もちろん低侵襲な術式によるインプラント治療で長期的に良好な結果が得られれば,術者-患者双方にとって望ましい. しかし近年,既存骨の垂直的骨幅が少ない上顎臼歯部インプラント症例に低侵襲な治療を行うという目的で,無理にクレスタルアプローチ*1によるソケットリフト(以下,ソケットリフト)を併用したインプラントを埋入して,その後トラブルとなる症例に遭遇することが増えてきている. そのような症例のほとんどは既存骨量が少なく,それを考慮するとリカバリーにラテラルアプローチ*2によるサイナスフロアエレベーション(以下,サイナスリフト)が必須となることが多い.しかしながら,サイナスリフトは外科的に難易度が高いため,術者の都合でソケットリフトやショートインプラントを応用している症例も多く見られ,トラブル船木 弘東京都開業 日比谷歯科連絡先:〒121‐0011 東京都足立区中央本町5‐7‐17‐1FHiroshi Funakiキーワード: ショートインプラント,上顎洞底挙上術(サイナスリフト), ソケットリフトReconsideration of Sinus Floor Elevation in the Heyday of Short Implant48the Quintessence. Vol.42 No.11/2023—2424知っておきたい用語!知っておきたい用語!特 集 2ショートインプラント全盛時代にサイナスリフトを再考する!はじめに
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