2022年7,8月号掲載2022年9月号掲載2022年10月号掲載2022年11月号掲載2022年12,1月号掲載2023年2~12月号掲載予定148歯周外科治療☜今回the Quintessence. Vol.42 No.11/2023—2524岩野義弘東京都開業 岩野歯科クリニック連絡先:〒157‐0066 東京都世田谷区成城6‐9‐4‐2F 根面被覆術の成功とは“完全な根面被覆(complete root coverage:CRC)の獲得”です.術前の検査,診断を基にCRC獲得の予測実現性を計ることは,術式の選択においても患者さんへの説明においてもとても重要なことです. これまで,さまざまな歯肉退縮の分類法を基に,さまざまな臨床家がその条件に応じたCRC獲得の予測実現性の評価を行ってきました.本項では,それらのなかでもとくに有名な2つの分類法を解説していきます.1)Millerの歯肉退縮分類(図2) Millerの歯肉退縮分類1(以下,Millerの分類)は,1985年にMillerが発表したものです.この分類の評価項目は,①唇側の歯肉退縮が歯肉歯槽粘膜境(MGJ)を超えるか超えないか,②歯間部の組織喪失の程度,③歯列歯周治療の標準的な進め方図1 本連載は日本歯周病学会の推奨する“歯周治療の標準的な進め方”に基づいて論を進めていく.今回は前号に引き続き,歯周外科治療をテーマとする.連載切るペリオ編(その1) 第10回はじめに “切るペリオ”すなわち歯周外科治療(図1)において,歯周組織再生療法に加えてもう1つ,重要かつ覚えておきたい手技に根面被覆術が挙げられます.根面被覆術はとくに審美的に良好な結果が求められることが多く,かつ技術難易度が高いことが特徴です.根面被覆術には,周囲の歯肉を露出歯根面へ移動することで根面を被覆するいわゆる有茎弁歯肉移動術と,他部位から角化歯肉や結合組織を採取してきて露出歯根面へ移植する結合組織移植術,遊離歯肉移植術の3つがあります. 今号では,根面被覆術を行うにあたり知っておくべき事項を述べたうえで,まずは有茎弁歯肉移動術のさまざまな術式の詳細を解説していきます.歯周治療を成功に導くエビデンスと臨床手技1.根面被覆術成功の基準有茎弁歯肉移動術を用いた根面被覆術切らないペリオ,切るペリオ
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